今や、日本が誇る文化の一つとなったマンガ。
中でも、貴重な原画の保存・展示に力を入れ、本物が持つ迫力と美しさ、そこに込められた作家の熱量を伝えていくことによって、その魅力を世界に向けて発信していきます。
まんが美術館のある増田は、内蔵を擁する趣ある町なみが続く国の重要伝統的建造物群保存地区です。
原画の収蔵庫は、そんな蔵のまちに生まれた現代の「蔵」。
増田の伝統を受け継ぐように、蔵を中心としてマンガという新たな日本文化を継承していきます。
魅せる収蔵で、楽しみながら原画保存の意義を伝える
マンガの蔵のコンセプトは「魅せる収蔵」。原画の保存がどのように行われるのか、バックヤードツアーのようにその臨場感を楽しむことができます。
それは、原画の大切さを学ぶことであり、マンガ文化を未来へとつなげる現場に立ち会える場所です。
膨大な原画を保存・管理・公開するマンガの蔵展示室。無数の引き出しが並ぶガラス張りの収蔵庫は、24時間温湿度管理され、最適な環境を維持しています。
原画の持つ細やかな情報の記録やデジタルデータ化、紙の酸性化を防ぐ中性紙素材を活用した適正保存など、一連のアーカイブ作業をガラス越しに見学できます。収蔵原画の存在感が感じられると共に、マンガが育んできた文化資源を保存する大切さを伝えています。
今までにない方法で新たな原画体験を提供する
原画をじっくり見られる「ヒキダシステム」では、引き出し付きのキャビネットに原画を収納しており、上から順にスライドしていくと1話分の原画をすべて見ることができます。
デジタル化した原画を検索して呼び出せる、大型のタッチパネルも用意しました。
高解像度でデジタル保存された原画を画面上で拡大すれば、繊細なペンさばきや作画タッチなど、一枚一枚異なるさまざまな表現手法をつぶさに鑑賞することができます。
名シーンが目白押し。大規模収蔵作家の原画たち
矢口高雄氏が横手市に寄贈した全原画約 42,000 点を筆頭に、
数万点規模の原画をまんが美術館が預かる大規模収蔵作家は、現在12名。
圧倒的な画力を誇る個性あふれる原画はどれも素晴らしく、
その作品群は誰もが知る名作ばかりです。
矢口 高雄 | 圧倒的な筆致で自然と生きる人々を描く |
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高橋 よしひろ | 海外からも注目される動物マンガの旗手 |
小島 剛夕 | 戦後漫画史をけん引した劇画の到達点 |
能條 純一 | 独特の感性で描かれたクールな男の美学 |
土山 しげる | 食べる喜びを豊かに描き出す食の哲学者 |
東村 アキコ | 変幻自在に女性心理を描くコメディマンガの女王 |
倉田 よしみ | 人と人の心を繋げる人情マンガの境地 |
さいとう・たかを | 「劇画」の旗手にしてマンガ文化の象徴たる巨匠 |
浦沢 直樹 | マンガの新機軸を打ち出し続ける次代の開拓者 |
やくみつる | 絶滅寸前「時事漫画」の数少ない伝道師 |
江口 寿史 | 斬新なセンスで刹那を切り取る KING OF POP |
村上 もとか | 「時代」と「人」の尊厳を繋ぐ刻の旅人 |
(2024年3月現在)